タイの伝統行事、ロイクラトン(イーペン祭)は収穫に感謝し、水の精霊に感謝し、罪や汚れを水に流して魂を清めるお祭りです。毎年陰暦12月の満月の夜に開催されます。各地で灯篭が川に流されるのですが、チェンマイではコムローイという熱気球を一斉にあげます。その美しさはチェンマイ観光の目玉となっているそうです。
私達は祭の2日前にチェンマイに入りました。町の中心部から北にあるメージョー大学では一斉にコムローイをあげるイベントがあり、これは外国人観光客用に開催されるのですが、チケットはとっくに売り切れているとのこと。大学敷地の外から見ても良さそうということで、当日はバイクで近くまで行くことにしました。
お祭り当日、日本人が経営する安いレンタルバイクショップに電話をしたところ、全て貸し出し中で来月までレンタル出来ないとのこと!次に宿でバイクを借りようとしたらここもいっぱい!宿周辺のレンタルバイクショップを当たっても全て出払ってしまっていました。ヤバイ!大変だ〜!焦って周辺を探し歩いたら、やっと自転車だけがまだ残っているお店を発見。バイクは諦め自転車を借りました。夜になる前に行きたい所もあり、自転車で大学まで行くのは大変なので予定変更。
自転車でチェンマイの街を走るのは楽しい!旧市街を何カ所か回り、Wat Chedi Luang Worawihan(ワット・チェディルアン)に。
今日はロイクラトンだからか、お寺の中では大勢の小僧さん達が集まってお経を唱えていました。位の高そうな年老いた僧侶が前に座っていて、式か何かが始まるようでした。司会の人もいて小僧達は順番に前に出て僧侶に挨拶していました。
見学していたら日が暮れたので、灯篭流しが見れるピン川へ出発。出発した途端、すぐ隣のお寺Wat Phantao(ワット・パンタオ)では、無数のキャンドルと木から吊るされた色とりどりの提灯に照らされていて、観光客でひしめき合っていました。何かの儀式が始まるらしい。自転車を止めて人ごみの中へ。
何とも不思議な音楽が流れ始め、蝋燭を持った僧侶達が一列になって現れました。
彼らは木の下にあるお釈迦様の祠の前に半円状になって座り、何やら祈りをあげています。荘厳な雰囲気と美しい光景に目を奪われました。すごい世界観です・・・。
予期せず、このような光景に出くわすことが出来て良かった!混雑が半端ないので適当なところでお寺を出ました。時間は6時半頃。
街中は至る所に提灯がぶらさがっていて本当にきれい。おとぎの国を自転車で走っているような気分です。
すると、空にコムローイが飛んでいるのを見つけました!かなりの数がいっせいに空へ上っていっていました。うわ〜すごい!東の方角から沢山飛んでいるようだ!胸が高鳴り自転車の速度をあげました。
ターペー門まで来ると人と車で大混雑。北側からぐるりと回ってお堀を超えてターペー門の外側へ。門の前に来ると、遠くまで続くターペーロードの上空を沢山のコムローイが昇っていました。通りは提灯の明かりと人々の身につけるイルミネーションでカラフルに光っています。
色鮮やかに光るパレードが通りを行き、門の前の広場ではミス・イーペンコンテストが行われいて、大勢の華やかな美女達がステージに並んでいました。どこを見回しても見所だらけ!
コムローイがピン川の方角の一点から集中して昇っているので、そこを目指しました。
ターペー通りは混雑していて、自転車では通れそうにないので裏道を行きました。うねうね曲がりくねった道を、空のコムローイを頼りに自転車で疾走。
路地裏や暗い住宅街を自転車で走るのはゲームみたいで楽しい!
途中でタイの伝統音楽の演奏もありました。音楽に合わせて路上で踊るノリノリのおじちゃん。
しばらく行くと、川沿いの広い道に辿り着きました。ここもパレードの行列が行進していて、沢山の屋台が建ち並んで凄い賑わい様。パレードには、タイの伝統衣装に身を包んだ人達が御輿の上で演技をしていました。
自転車を止めて川の方へ行ってみると、空き地に灯籠とコムローイのお店がいくつもあり、沢山の人がコムローイを飛ばしていました。川には灯籠が流れ、川の向こう岸に施された煌びやかな灯籠や照明が川面に映し出されていました。
灯篭と熱気球に灯る光は浄化されてゆく魂のよう・・・まるで夢の世界にいるような不思議な感覚。
コムローイは近くで見ると思っていたより大きくて火をつけるとかなり明るいものでした。ビニールで出来ているように見えたけど、紙で出来ているらしい。
本格的にお腹が減ってきたので屋台で色々つまみながらナイトマーケットへご飯を食べに。移動している間も、何度も空を見上げては感動し感嘆しました。脳内麻薬が放出されっぱなしの状態です!
空が見えるお店を選んで夕食を食べながら一杯やっていると、コムローイが飛んでいる空を背景に花火が打ち上げられました。本当に盛りだくさん!
お腹も膨れ、ナイトマーケットの中の土産物屋を物色。そこにあったロックバーではタイ人ロックンローラーがノリノリで演奏。カバー曲だけど気合いと迫力がハンパない!面白かった!
宿のある静かな場所で夜が更けても、祭を惜しむかのようにポツポツとコムローイが昇って行くのをいろんな方角に見ることができました。しばらくは頭がボーとして、さっきまでの光景は夢か現実かわからないような状態が続きました。本当に素晴らしかった…このお祭に合わせてチェンマイに来て、本当〜に良かったぁ〜!!!
後で冷静になってから、環境への害が気になったので調べたところ、コムローイは紙とトイレットペーパーを切ってロウに浸けこんだものと竹で出来ていて、形を固定している部分は針金になっていて、この部分が良くないようでした。あ〜…あれだけ素晴らしかっただけに残念です。この問題点を解決してお祭を続けて欲しいと強く願います!